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あなたは遠くの街から、田舎の家々を夜ごと見張る仕事に就いています。 ただし、映像は与えられません。 ■ 手元にあるもの ・間取り図が一枚 ・明かりを点けた部屋に浮かぶ、人影の点 ・「誰が、どの部屋から、どの部屋へ移ったか」という一行の記録 それだけです。カメラはありません。音声もありません。 その夜その家で起きた異変をひとつ見抜いて、本社へ報告する。それがあなたの仕事です。 ■ 手がかりは「戸を通ったかどうか」だけ 住人は必ず戸を通って歩きます。 だから正常な移動は、戸のところで一度折れ曲がります。 戸を通らずに動いたものは、壁を貫く一本の直線になります。 この折れ曲がりの有無が、たったひとつの確かな手がかりです。 記録の行を触れると、その移動が図面の上に描き直されます。 線が戸で折れているか、壁を跨いでいるか——自分の目で確かめてください。 アプリは何も教えません。印も付けません。 ■ できること、三つだけ ・明かり 部屋を触れると点きます。消えている部屋の人影は見えません。 ただし電力に上限があります。どこを照らし、どこを捨てるかを選ぶことになります。 ・施錠 戸を触れると閂がかかり、住人はそこを通れなくなります。 行き先を狭めれば、暗い部屋での見落としを減らせます。 ・報告 おかしいと思う部屋を触れて、本社へ届け出ます。 報告すればその夜は終わります。取り消せません。 ■ 六種類の異変 ・壁抜け 戸のない壁を越えて移動した ・入れない区画 どこからも入れないはずの一画に、人がいる ・人数が合わない 人影がひとつ増えている ・人影の消失 出ていった記録がないまま、ひとつ消えた ・戸の消失 誰かが通った直後、その戸が図面から消えた ・赤い女 間取りに従わず、壁を無視して住人へまっすぐ近づいてくる 赤い女には施錠が効きません。明かりの点いた部屋にだけは踏み込めないので、 進路を照らして押し返すことになります。ただし——暗い家ほど、彼女の足は速い。 そして、何も起きない夜もあります。 その夜は「異常なし」と報告するのが正解です。焦って誤報しないでください。 ■ 十軒の家、三十の夜 一軒につき三夜。三夜すべて見抜くと、その土地を離れて次へ進みます。 祖父の家/朽ちた隣家/分校/山間の旅館/焼けた診療所/ 山の蔵/鎮守の森の社務所/無人駅/団地 三〇二号/私の家 進むにつれて監視対象が増え、一手が短くなり、 「一目で分かる異常」から「記憶していないと気づけない異常」へ変わっていきます。 そして最後の夜、本社との回線が切れます。報告そのものが、できなくなります。 ■ 見抜くたび、手帳に紙が一枚増える 夜をひとつ見抜くごとに、あなたの手帳に資料が綴じられます。全部で三十枚。 設置報告書。間取り図は十二室、設置した感知器は十一基。 中央の一室には出入口が無く、機器を置けなかった。 建具の見積書。襖と障子で〆て十本を張替。図面上の建具は八本。 差の二本は「奥の間 二本」とだけ。奥の間は、図面に無い。 役所の届出、建具の見積、宿直日誌、前任の監視員からの引き継ぎ。 どれもただの事務文書です。恐ろしいことは一行も書かれていません。 ただ、数字が合わない。欄が空いている。後から墨で消してある。 三十枚を読み終えたとき、その村が何を隠してきたのかが見えてきます。 ■ 画像を一枚も使っていません 間取り図はすべてコードで描いています。グリッド1単位が910ミリ(半間)で、 絵と当たり判定を同じ矩形から導いているので、見えている線と判定が食い違いません。 起動のたびに十枚の図面を検算し、部屋の重なりや行き来のできない部屋を弾いています。 効果音も合成音のみで、音声ファイルを持っていません。 ■ 遊びやすさ ・片手で遊べます。操作は画面を触るだけです ・迷ったら「停止」で時間を止められます。止めている間に図面も記録も読み返せます ・進行の速さを三段階(ゆっくり/ふつう/はやい)から選べます ・画面の揺れや暗がりの演出を切れます。図面が読みやすくなります ・音を切っても遊べます ・オフラインで動作します。通信は広告の表示にのみ使います ■ ご注意 ・本作はフィクションです。実在の地域・人物・団体・出来事とは一切関係ありません。 ・作中に登場する風習や記録類は、すべて創作です。
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